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2004tunisia 10/12
グランモスク

 7時起床。ワールドニュースのトップは日本で起きた「集団自殺」。インターネットを通じて集まった人々によるものらしい。資料映像では、自殺者を募るサイトや自殺のマニュアル本が紹介されている。日本の中でも(今のところは)特異な現象であるが、こうして世界に紹介されることで普遍化し、日本人に対するイメージが形作られていくのだろうか。

 今日の朝食は、クレープに加えてオムレツを焼いてくれる。細かく切ったトマトやタマネギの他に、希望すればハリサを入れてくれる。美味い。そういえば、何処のホテルでも生野菜が出るが、食あたりすることもなく問題なく食べている。「生水、生ものには気を付けましょう」とよくガイドブックに出ているが、それほど神経質になることもなさそうだ。

 チェックアウトを済ませ−−夕食代、請求されないぞ。ま、いいか−−チュニスへ向かって出発。その前に昨日は入れなかったグランド・モスクへ。駐車場に車を停めると若い兄ちゃんが寄ってくる。「こっちだよ」と案内しようとするので断ると「自分はアルバイトなので大丈夫」とちゃんと入り口まで連れて行ってくれる。警戒しすぎたか。昨日買ったチケットは今日の日付なので問題なく入れる。

 大きな石畳の庭を中心に、ミナレット(時計台のような物か?)と礼拝堂がある。庭は中央部に向かって緩やかな傾斜があり、地下へ抜ける排水溝が設けられている。カイルーアンは、アフリカの中心的なイスラム教の聖地で、この地に7回お詣りすれば、メッカに行ったのと同じ御利益があるそうだ。礼拝時間には、この場所もイスラム教徒で一杯になるのだろうか。

 モスクを出ると、直ぐに大勢の人に取り囲まれる。「眺めがいいところがあるから来いよ。タダだよ」と誘いをかけるが、どうせカーペット屋の類に違いない。時間がないから、と断り車に戻る。先ほどの青年が寄ってきて、何を言うのかと思えば「あなたの車を守っておきました。チップをください」だと。おまえのアルバイトは観光客にたかることかよ!!。もう声をかけてくるアラブ人は誰も信じない。

水の神殿

 気を取り直して出発。国道1号線に出て北上すればすぐにチュニスだが、ちょっと寄り道。ザグアンの、水の神殿を目指す。内陸部に入ると、遠くにごつごつした岩山が見えてきた。近付くにつれ、景色が緑豊かになってくる。

 ザグアンの町は、これまで見たどの町とも違い、なんだかリゾート地のような雰囲気が漂っている。小さな町だがおしゃれなレストランや商店が建ち並んでいる。丘を登ったところに水の神殿はあった。ローマの支配下、ここから130キロ離れたカルタゴの町まで高低差を利用しただけの世界最長の水道橋が作られ、神殿はその水源となったところだ。水をたっぷり使った公園でもあるかと思えば意外としょぼい。崩れた石が横たわるばかり。

 すぐそばのレストランで昼食。標高が高いせいか、緑のおかげか、屋外の席でも暑さは感じられない。羊の肉のグリル他、全部で13Dはこれまでで最も高い昼飯だが、それなりに美味しかった。

ぼったくりタクシー

 チュニスへ向けて出発。幹線道路に出ると、石で出来た水道橋が現れる。ローマ占領下に作られたのはわかるが、いったいいつまで使われていたのだろうか。ここでもインフラ整備の大切さと、それを維持していくことの難しさを考えさせられる。

 チュニス市内に入ると、すぐさま殺人的な交通ストレスに巻き込まれる。やはりGPSの指示だけが頼り。なんとか空港にたどり着き、荷物を降ろす。走行距離1750キロ。良くもまあ無事に帰ってこれた。この国でレンタカーを利用する時は相応の覚悟が必要なことを、これを読んでいただいている皆様に忠告しておきます。オフィスで精算。走行距離が見込みの倍近くになったこともあり、6日間のレンタル料は、2000ドルを超えてしまった。かなりの誤算。

 タクシーでホテルに向かうことにする。ガイドブックを読むと「ぼったくりタクシーに注意。通常は3D程度だよ」と書かれている。タクシー乗り場で値段を確認。なんと、停まっている全てのタクシーが、ホテルまで10Dだと答える。「ぼったくりが居る」ではなく「ぼったくりしか居ない」

 “ぶっちゃけ”成田や羽田空港にに比べれば10Dなどたいした額ではない。もしこの国にタクシーという制度が無く、皆“白タク”なのであればそれでもいい。気持ちよくぼったくられましょう。しかし、個人商店ならいざ知らず、準公共交通機関で認可を得て行っている商売なのに、ぼったくりは許されない。近くに警官が立っているが、運転手と談笑している。これがこの国の現状なのだ。

 こちらが途方に暮れながらも頑なに断っていると、先頭に停まっていたおやじが「3Dでいいよ」と言い出した。それなら乗りましょう。しかし、車が動き出すと「ちゃんとメーターがあるでしょ。メーターの値段でいいよな」と言い出す。そんな物、細工してあることは分かり切っている。「NO!!3D」、とここでも妻がきっぱりと告げると、運転手は空港の外の路上で車を停め、トランクから荷物を放り出し、通りがかった別のタクシーを停めて何事かささやき去っていった。俺は知らん、乗り換えろと言うことらしい。しかし、そのタクシーに値段を確認しても、やはり10D・・・。

 とぼとぼと、空港に戻る。バスに乗ろうかとバス停に行くが、たまたま停まったバスを見ていると、乗客が殺到し乗り切れない人が出ていた。こんなバスにスーツケースを持って乗れない。ほとんど思考停止寸前の頭でぼんやりと考える。選択肢1、このまま乗れるまでバスを待つ。選択肢2、外国人の送迎客を捕まえてヒッチハイクする。選択肢3、ホテルに電話して迎えに来てもらう・・・。

 チュニス市内に向かうらしいバスが来た。それほど混んではいない。運転手に地図を見せ「この辺だけど、いい?」と確認し乗り込む。助かった。バスが動き出し、運賃を集めに来た車掌の女性にも「ホテル・アフリカに行きたいので教えてね」と念を押す。バスは順調に町中へと進み、乗客全員が降りて取り残されてしまった。不安に思っていると、こっちに来いと手招きしている。遠くを指さして「あそこだよ」と教えてくれる。どうやら通常の終点からホテルが見える位置まで余分に走ってくれたようだ。感謝感激、−−あんたに10Dあげるよ−−ってあげなかったけどそんな気持ち。

 ホテル・アフリカは、大きな通り(ハビブ・ブルギバ通り)に面した近代的な高層ビル。チェックインを済ませると、もう部屋に引きこもり。夕食はルームサービスで済ませる。シーバスのグリルとフルーツバスケット。日本から持参した真空パックご飯とインスタントみそ汁。焼き魚定食のできあがり。ミニバーからビール(セルティアの缶だ)を取り出しぐっと一息。正直な話、昨日の砂漠よりも疲れた一日だった。


10/12 end


Photo
ホテル・ラ・カスバpuffin ホテル・ラ・カスバ
城壁に囲まれたホテル。庭やプールもあり、中は意外と明るい。
グランド・モスク(ミナレット)puffin グランド・モスク(ミナレット)
アフリカ最古のモスク。朝から観光客でいっぱいでした。
水の神殿puffin 水の神殿
高い山に囲まれた緑豊かな地。
チュニスの町puffin チュニスの町
ホテルの窓からの風景。窓を開けると、チュニジアの町では何処でも感じた同じにおいがする。
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