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2002iceland 08/12
 アイスランド観光最後の日。最も有名な、ゴールデンサークルを巡る。最後の日になって、やっと晴天の予感。まあこれまで雨と言ってもほとんど影響がない程度だったので、アイスランド旅行にしては幸運な方だったが。テレビのニュースでは、ヨーロッパ全体が史上まれに見る豪雨に見舞われている様子を映し出している。

 フルージルから北に20キロ、ゴールデンサークルと呼ばれるアイスランド観光の目玉の中で、間欠泉のゲイシールGeysirグトルフォスの滝gullfossの2つがそれほど距離をおかないところにある。まずは、ゲイシールに向かった。快適な舗装路を走っていると、遠くの山裾で不定期に煙が上がっているのが見えてくる。着いてみると朝早いせいかほとんど無人。豪華なロッジの駐車場に車を停めて公園内へ向かう。硫黄の臭いがかすかにする。規模的には箱根の大涌谷の方が大きくておどろおどろしい感じ。

 早速間欠泉の一つに近付いてみた。ロープが張ってあるすぐそばまで行くと、もう目の前が間欠泉だ。のぞき込んでいると、突然轟音と共に吹き出してきた。水蒸気で目の前は真っ白、飛沫が雨のように降り注いでくる。足下には溢れ出てきた熱湯が流れてくるので慌てて石の上に逃れる。間欠泉の凄さもさることながら、こんなに近づける事の方に感動を覚えた。自己責任が原則なのだろうが、これでけが人は出ないのだろうか。

 もう一つの大きな間欠泉の方に行ってみる。こちらは先ほどの何倍も広い区域にロープが張られているので期待できる。暫く待っていると、ボコボコボコ、っと音がしてきて温泉がどどーーーーんと湧き出してきた。きたーーーっ、と思っていると、ひとしきり、煮こぼれている鍋のようにお湯を吐き出して止まってしまった。吹き出した水量は確かにすごいが、なんだかなあ。

 他にもエメラルド色に輝く不思議な池や、大小様々な池がある。ほとんど柵はないので、卵を持っていけば何処でも温泉卵が作れます。

 ゲイシールを後にし、暫く北に走るとすぐにグトルフォスの滝に着く。アイスランドに数ある滝の中でも最大級の滝だ。まだ閉まっている売店の側に車を停め、滝への階段を下っていく。ここも朝早いせいか、自分たちの他には一人しか居ない。静かな・・・・と言っても滝の轟音が響き渡る・・・・観光地。カナダのナイアガラの滝のように、滝が落ちるすぐそばに立つことが出来る。しかもこちらは柵がない。手が届くところを水がごうごうと流れ、その数メートル先はもう滝になっている。先ほどの人影もなくなり、大自然の中、2人だけ。神秘的な気持ちになる。来る前に何度も受けた質問「アイスランドって、何があるの?」。「何も無い、すばらしさ」とでも答えようか。

 遠くから年輩の団体客が来るのが見えたところで引き揚げることにした。やっと開いた売店でトイレを借りた後、ゴールデンサークルの最後の一つ、ギャウCreviceへ向かう。来た道を引き返し、再びゲイシールを通過する。もう未舗装路を通ることは無いと思っていたら、山間部の道は当たり前のように砂利道だった。大型の観光バスとすれ違うたびに砂煙を浴びせられる。遠くに湖が見え出すと、付近の景色もお馴染みの鬼押し出し風に変わってきた。

 いよいよギャウ、地球の割れ目が見えてきた。湖に向かって走る道路に沿って、岩石で出来た土手が何処までも続いている。駐車場が整備されており、既にたくさんの車が停まっていた。車を停め、早速ギャウに向かって歩く。土手のような所を登りきると、本当に割れ目と言った感じで溝が広がっているのがわかる。どこからか水が流れ込み、溝の真ん中は川になっている。溝の中に立ち、左右の壁を見上げると、何となく地球の息吹が感じられる。アイスランドはまさに活動する大地なのだ。

 ギャウの別な場所には映画か何かの撮影部隊がいた。皆、ヴァイキングのような姿をしている。ここギャウは西暦930年に世界最初の民主議会が開かれた事でも有名。記録映画でも作っているのだろうか。駐車場には自転車に乗った2人組の日本人がいた。自転車をよく見掛けるが、よくこんな荒れた大地を走る気になると感心する。

 アイスランド旅行もいよいよ終わり。後はケプラヴィークヘ向けて走るのみ。首都のレイキャヴィークReykjavíkを経由する。さすがに大都会。信号もあれば、ビルもある。有名な大聖堂を目指すが、ビルに阻まれて現在地がわからなくなってしまった。GPSをセットし、何とか到着。道端のコイン駐車に車を停め街を歩く。あまり下調べをしてこなかったので、何処に何があるのかよくわからない。とりあえず、大聖堂に登ってみることにした。

 高台にある大聖堂に行ってみると、なんと誰かの葬式の最中で中に入ることが出来ない。縁石に腰掛けて眺めていると、霊柩車が横付けされ、軍服を着た人々に支えられた棺が教会から出てきた。かなりのお偉いさんが亡くなられたらしい。

 昼食後、街を散策。世界最北の首都だそうだが、これまで世界で目にしてきた北の町に比べて寂れた感じがしない。幾つかの土産物屋を巡り、幾つかの土産を買う。アイスランド土産には、これといった物がない。馬肉の薫製でも売っていれば日本人は大喜びするのだろうが、鱈の干物を買った。

 アイスランド最後の宿は、憧れのホテル・ブルーラグーンHotel Blue Lagoon。今はもう見慣れた溶岩台地を南下し、旅の出発地、ブルーラグーンを目指す。見覚えのある道を走り、ホテル・ブルーラグーンに到着。以外に小さいので拍子抜け。ホテルのホームページを見た印象から、一大リゾートホテルを想像していたが、小さなペンションのような建物だった。それでも感じのいい従業員に案内されて部屋に落ち着く。部屋の窓から温水発電所が見える。

 まだ少し時間があるので、夕食を兼ねてブルーラグーンに行くことにした。以前はホテルから歩いていけたそうだが、ブルーラグーンが改装、拡張されてからは車でないと行かれなくなったらしい。初日はかなりとまどったプールにたどり着くまでの行程も今回は難なく通過。最後のアイスランドを楽しむ。傾きかけた太陽がまぶしい。まずまずの天候に感謝、大自然に感謝、今回も充実した旅であった。

 サウナに入ろうと思ったら、妻がプールの縁で転んで足をすりむいてしまう。まあ潮時なのでここらで引き揚げることにした。ブルーラグーンのレストランで夕食にしようと思っていたが、今日は貸し切りらしく断られてしまった。見ると、何かの会合でもあったのか、ネームプレートを付けた物凄い人数の団体客が押し寄せてきた。建物の外にまで列を作り、次々と更衣室へ入っていく。本当に千人風呂に挑戦するつもりか。いくらブルーラグーンがでかいと言ってもこれだけ来たら大混乱だろう。良い時に退けてラッキーだった。

 夕食はブルーラグーンレストランに行った。ホテルとプールの間にある、あまり流行ってそうもない感じのレストランだが、他に食べるところもなさそうなのでここにした。料金も少しお高い。ビールを飲み、ステーキを食べる。ぶつ切りにした固まりのような肉だが意外と美味しい。結構このレストラン、当たりかも。満足してホテルに戻る。

 従業員が集まってくつろいでいる。明日のモーニングコールを頼み、コーヒーを分けてもらう。これまた美味しい。わずか4−5人で営業しいるようだが、皆さん感じがいい。それにレイキャビークのホテルや、今回利用した他のホテルよりも安い。リゾートホテルではなかったが、ここにして大正解。アイスランド最後の夜、満足して眠りにつく。


08/12 end


ギャウ
 地球の割れ目。プレートテクトニクス(大陸移動説と同じ様な理論)という言葉を人生の中で一度は聞いたことがあると思いますが、アイスランドはまさにそのプレートが誕生する位置にあります。

 通常、プレートが誕生する場所は海底にあり、見ることが出来ませんが、アフリカの大地溝帯と並び、アイスランドでは陸上で目にすることが出来ます。アイスランドは、大西洋中央海嶺の延長線上にあり、ギャウの西側が北アメリカプレート、東側がユーラシアプレートです。

 面白いことに、この二つのプレートの反対側に日本があります。日本では、フォッサマグナの西側がユーラシアプレート、東側がアメリカプレートになります。アイスランドで生まれたプレートが日本でぶつかり合い、日本アルプスが(今現在も)形成されています。

Photo
ガイザーpuffin ガイザー
のどかな感じです。
間欠泉puffin 間欠泉
噴出の瞬間。でもこれ合成です。吹き出した瞬間を撮ったものと、人間だけのものを合わせました。
ギャウpuffin ギャウ
地球の割れ目の中です。外はこんな感じです。
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