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2007canada 07/05
 
    「エスプレッソ、ダブルで」

 ホテル近くのヨットハーバー沿いのカフェ、バンクーバーっ子になりき……れるわけないか……った気持ちで朝食。レジに列が出来るほどの人気の店だ。マウンテンバイクで訪れる人も多い。“ワッフルとフルーツ”を注文。妻はオレンジジュースに“ランナーズ・スペシャル(グレイン・トーストにチーズとトマト)”、ヘルシーだなあ。

 今日は一日バンクーバー散歩。まずはレンタサイクル屋へ。ホテルから数100メートル、デンマン通りDenman St.の入り口には、日本語で看板を出しているレンタサイクル屋が数件並んでいる。一番近くのスポークスSpokesという店に入った。タンデム(2人乗り)サイクルもあるが、バンクーバーでは許可されているのだろうか。まあ、無難に変速機付きのマウンテンバイクを借りる。ちなみに駐輪用の鍵は頼まないと貸してくれなかったので、忘れずにお願いしましょう。

 無事自転車を借り、早速スタンレーパークStanley ParkへGO!!。一週9キロの巨大な公園は、一歩奥に踏み込むと、この地が白人に浸食される前の太古の雰囲気を漂わせている。徒歩で巡るのは大変だが、自転車なら快適だ。巨木の森の静かな道は自然な曲線を描き、適当に走っていたら現在地がよくわからなくなってしまった。気がついたらロスト・ラグーンLost Lagoon沿いの道、公園の入り口に戻ってしまった。まあそれも楽しい。今度はちょっと注意しながら今日最大の目的地、バンクーバー水族館Vancouver Aquariumへ向かう。

 「合計で、335ドル(約4万円)になります」。水族館の“入場料”がなんでそんなに高いのかは後にして、まずは館内を一巡り。バンクーバー水族館は、施設拡張競争の著しい日本の水族館に比べれば、まあたいしたことはない。しかし有名度で言えば、今世界で最も有名な水族館の一つとなっている。立役者となったのは数匹のラッコ。手をつないで泳ぐ愛らしい姿を撮影したビデオOtters holding handsが動画投稿サイトYou Tubeで人気となり、2ヶ月で600万アクセスを記録したという。さっそくラッコ水槽へ。

 うーーん、思いの外、狭い。しかも3匹しか居ない。目の前の海にたくさん居るから連れて来ればいいじゃん、と、思うのは日本人の浅はかな知恵。Nyacちゃんは、1989年のExxon Valdez号座礁事件の時に生き残った子。Milo君は、ポルトガルの水族館で生まれた子。Tanuちゃんは、生後間もなく漂っていたところをアラスカ・シーライフ・センターAlaska SeaLife Centerのスタッフに救出された子。自然に負担をかけない形で運営されている。アラスカ・シーライフ・センターと言えば、海側を向いたテラスに双眼鏡が置かれ、“ラッコ水槽”としていた事を思い出す。自然環境を利用し、教育的思想を取り入れた見事な運営だ。今日のラッコ達は、じゃれ合うばかりで“手つなぎ”の姿は見られなかった。勝手な期待だけど残念。おっと、イルカショーDolphin Showsの時間だ。イルカ水槽へ急げ。

 イルカと言えば、何処の水族館でも集客の目玉となる海洋生物だ。見て癒されるだけではなく、アクロバットショーも必ず行われている。バンクーバーのショーは如何なものか。会場は、不定型な水槽の周りを桟橋のような観客席(立ち見だけど)が取り囲んだ落ち着いた作り。背後に木立が迫り、まるで森の中の水族館だ。さて、ショーの方は、スタッフによるイルカの生態説明が中心で、ジャンプやしっぽふりは申し訳程度。インストラクターと一体となったサーカスのようなショーを期待しているとちょっと拍子抜け。しかし、森林浴をしながらイルカを眺める、ダブルの癒し効果が楽しめる。暫くは水中を泳ぐイルカの影を眺めていたが、ベルーガショーの時間がせまる。ベルーガ水槽へ急げ!!。

 ショー開始30分前、3段ほどの客席は既に遠足……という行事がカナダにあるのかどうかは知らないが……の子供達でいっぱいだった。どうしようかと思案したが、客席の後ろ、一段高くなったところに軽食用のテーブルが並んでいるのを発見。空いた席をすかさず押さえ、開演までねばることにした。時刻も丁度12時、サンドイッチとコーラを買って、のんびりと食事をする。

 「こんにちは。何処から来たの?」。元気の良いスタッフのお兄さんによる“前説”が始まる。「君たち準備はいいかい?、この辺りはたくさん水がかかるよ。こっちはたくさんたくさんたくさんかかるよ」。子供達とのやりとりの後、いよいよショー開始。3頭のベルーガがゆっくりと現れる。

 ベルーガは、日本語では“シロイルカ”だが、どちらかといえばクジラに近い。白い巨体でゆっくりと泳ぎ、ぷよぷよの体と突き出した頭で、イルカ以上の癒し系キャラとなっている。ショーはやはりベルーガの生態説明が中心で、日本の水族館で行っているシンクロショーなど望むべくもないが、後半になると観客への“放水”もあり、結構盛り上がった。

 2大ショーを見届けたので、次のイベントまで館内を一巡り。ベルーガ水槽は地下から覗けるようになっていて、巨体を揺らしながら気持ちよさそうに泳いでいる姿を眺めることが出来る。残念なのは水鳥コーナーが無いこと、今年はパフィンには会えなかった(あれ、ペンギンも居なかったなあ)。売店には“手つなぎラッコ”を始めとして、もちろんベルーガもたくさん。そして、2010年に迫ったオリンピックの公式商品もいくらか置かれていた。さて、3時になりました。今日最大のイベント、ベルーガふれあい体験Beluga Encountersの始まりだ。

 待ち合わせのロビーに居たのは一組の親子(お母さんと少年)。我々と合わせて4名が今日の参加者のようだ。スタッフの女性に案内されて、まずは講義の開始。もちろん英語なのでよくわからないが、幾つか新しい発見……あの頭のぷよぷよな部分は、“メロン”という名前で、コミュニケーション用の音波を送り出すのに使うらしい。子供は灰色で、親の陰に入ったときの保護色になっている……もあった。講義が一段落すると、漁師のようなつなぎに着替えてスタッフの仕事場へ。

 魚臭いその部屋は、ベルーガを含む各海洋生物のための食事を準備している部屋で、壁のホワイトボードに餌の量が細かく記されている。ちなみにImaq(ベルーガ父さんの名前)の次の食事は1.10キログラム……体の割には少なくないか?。食事作りのお手伝い……バケツに小魚とイカを移すだけだけど……をしたが、ほぼ精確に1.10キロにしていたのには驚いた。食事の準備が出来たら、次はいよいよ“ふれあい”だ。

 つなぎを着た奇妙な一団が館内を通過する。そしてやってきたベルーガ水槽は、今まさにショーが行われているところだった。そのまま横の扉から水槽の中へ。ショーの途中なのに、一頭のベルーガを呼んで目の前で説明をしてくれる。そしてもちろん触らせてもらえる。以前イルカには触ったことがあるが、ベルーガは初めてだ。すべすべのゴムのようなイルカに比べ、ベルーガの肌はビニール浮き輪のようにぷにぷにだ。触れる他にも遊んだり、水をかけられたり……しょっぱい……、楽しい時間はあっという間に終わってしまった。みんなで記念写真を撮って解散。さて、90分のプログラムに、スタッフが撮影した当日のスナップ写真を納めたCD−Rが付いて1人150ドル、高いか?安いか?、微妙なところではあるが、まあ楽しかったです。

 水族館を後にしスタンレー・パークを散歩。海沿いを走ると、ヨットハーバーの向こうにバンクーバーの街が見える。トーテムポール広場totem pole display areaに到着。元々この地(公園全体)はネイティブ・カナディアンの土地で、トーテムポールは先住民の文化の象徴。本来はそれぞれに物語がある墓標の様な物で、自然の中で、長い年月をかけて朽ち果てていく物らしいが……なんだか侘び寂びの世界だ……今は博物館や公園で、檻に入った希少動物を眺めるように“永久展示”されてしまっている。違和感はあるが、絶滅しないように守っているだけでも価値があることなのだろう、と、納得し、写真を撮り退散。そろそろ自転車を返却しなければ。

 時刻は午後6時、時間が過ぎるのは早い物で、バンクーバー散策のつもりがスタンレーパーク散策で終わってしまった。夕食を食べにロブソン通りRobson St.へ、土産物屋や怪しい日本料理屋が連なるかなり賑やかな通りだ。数ある中で選んだのは、Original flavor of INDIA(インドの独特な味)。バンクーバーまで来て、なぜキングフィッシャー(インドのビール)を飲みながらカレーなんだ?。道路にはみ出したオープンテラスに座っていると、時々日本人観光客が怪訝な顔で通り過ぎる。味の方は確かに独特で……すいません、表現できません……これまで経験したことのないカレーだが、結構美味しかった。

 ジェラート屋さんMondo Gelatoで食後のデザートを食べた後、腹ごなしの散歩、ネルソン通りNelson St.を歩く。ここは住宅街で、イギリス風の古い邸宅や低層の集合住宅がある落ち着いた通り。何処も植栽が美しい。並木の一本、666号室にはこびとが住んでいますので、探してみてください。

 ホテルに戻り、ヘブンリーバスルームで……なぜかシャワーヘッドが二股になっている……一日の疲れと魚の臭いを洗い流す。今日は少し風があるのか、海に映る港の照明が揺れている。バンクーバー最後の夜に、ペットボトルの水で乾杯。


07/05 end


Photo
バンクーバー水族館puffin バンクーバー水族館
森に囲まれたイルカショー。ベルーガ水槽も森の中。手つなぎラッコはけんか中?。
Beluga Encounter!puffin Beluga Encounter!
えさをやったり、体をなでたり、遊んだり、水をかけられたり。
スタンレーパークpuffin スタンレーパーク
マウンテンバイクでお散歩です。
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