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2006portugal 09/10
本土へ

 午前6時、まだ暗い町を空港に向けて車を走らせる。夜更けから降り出した小雨が今も少し残っている。こんな時間に営業しているガソリンスタンドがあるのか(働いているポルトガル人が居るのか)心配だったが問題なく給油できた。空港の売店で、丹田いずみさん推薦のお菓子を発見、聞くと常温で2週間保つそうなので、お土産用に数箱購入。ポルトガル“本土”へ向かう(帰る)人々は皆アソーレス特産のパイナップルの入った箱を抱えている。8時過ぎ、SATAのジェットはリスボンへ向けて離陸、駆け足のアソーレスの旅は終わりを告げた。コーヒーと軽食が配られる。添えられたSATAマークの砂糖を見ると小さな文字で“アソーレス産”。

 11時、リスボンは晴れ。今日からはレンタカーでポルトガル本土を周遊する。予約したハーツHertzの店舗へ。“Group C Renault Megane II 1.4 or similar”クラス……まあ、下の上くらいかな……を予約してある。駐車場に行ってみると、指定された場所にあったのはベンツA160。ミニミニサイズとは言え、ベンツと名の付くものを運転するのは初めてだ。東へ向かって出発。

 今日の目的地エヴォラÉvoraまでは東へ140キロ。幾つかのルートが考えられるが、どうせならテージョ川Rio Tejoに架かる、その名もバスコ・ダ・ガマ橋Ponte Vasco da Gamaを渡るコースをお奨めしたい。なんてったって、飛行機から見下ろして一番目立つ建造物だ。事前にmaporamaでコースは調べてあり、それに従って進めば良いはずが、なかなかリスボンの街を抜け出せない。どうもラウンドアバウトroundaboutに慣れなくて、例えば「こんな感じで進みなさい」と言われても……いったいここは何叉路なんだ?……はたして自分が曲がった位置が正しいのかどうか、なかなか判断が付かない。信号で止まることが少ないので、地図を見直して思考をリセットする機会もなかなか無い。

 1時間近く時間を無駄にし、やっと橋に出た。ここからは都市を結ぶ高速道路Auot-Estradaなので快適なドライブが期待できる。もうお昼も過ぎたのでサービスエリアÁrea de Serviçoで食事。この先何度もお世話になることになるサービスエリアのレストランは、たいていカフェテリア形式になっていて、ポルトガル料理を手軽に味わうことが出来る。バカリャウを揚げたコロッケみたいなやつPastel Bacalhauが旨い。

歴史の街、エヴォラ

 エヴォラの町に到着。城壁に囲まれた要塞都市は、今でもレンタカーで来るような一見さんの進入を拒むように一方通行の迷路になっていて、町の中心に位置するホテルまでなかなか到達できない。地図を確認し(一方通行路の向きが記されていることが必須です)突破口を見つけ、やっとのことでホテルに到着、エヴォラ攻略に成功。

 ホテルはポサーダ・ドス・ロイオスPousada dos Lóios。ポサーダは国営のホテルチェーンで、国宝級の歴史的遺構を改装した建物や、国立公園内の眺望を誇るホテルが多く、ここエヴォラでは、500年の歴史を持つロイオス修道院Convento dos Lóiosの僧房を改装してホテルにしている。通常ホテルランクで使われる“星取り表”とは別格で、値段も“別格”、今回の旅行で泊まるホテルの中ではここが一番高い。ちなみに車を止めたのはロイオス修道院の前、ホテル用の駐車場があるのかは不明。

 部屋は201号室。フロントから続く階段を上がると……まあ、エレベーターは無いわなあ……中庭を四角く取り囲んだ廊下に出る。オープンテラスのように本来は中庭からの空気が循環しているはずだが、柱と柱の間に大きなガラスが埋め込まれ、景観を維持しながらエアコンの冷気が逃げなくなっている。内陸性気候のエヴォラは今日も帽子が欠かせないほど日差しが強く暑いが、ホテル内は過ごしやすい。部屋は予想していたよりも広い。僧房なのでかなり狭いとの情報があったが、角付近の部屋なので特別なのか、それとも偉い人の部屋だったのか。窓からはカテドラルの屋根が見える。

 実はこの時はまだ部屋の清掃中で、荷物だけ置きロイオス教会Igreja dos Lóiosへ行くことにした。いったんフロントから外へ出て、改めて別の入り口から教会に入る。泊まり客だからと言って割引はなく、普通に入場料を取られる。通常の教会部分とは別に“宝物殿”のような建物があり、500年の歴史……と言っても1755年の地震でほぼ全壊したそうなので建物は半分の250年……を感じさせる古い調度品……アジアチックな物が結構ある……や、よくわからない偉い人の肖像画……どれもザビエルにしか見えない……が飾られている。おっちゃんがポルトガル語をまくし立てて説明してくれるが全くわからない。また教会の“床下”には骸骨が納められているのが見て取れる……キリスト教徒の考えることはよくわからん。

 教会を出る。もうそろそろ5時になるが、日差しはまだ強い。教会のすぐ前にはディアナ神殿Templo de Dianaがある。2世紀に建てられたローマ遺跡……パルテノン神殿(はギリシャだけど)の縮小版……だが、かろうじて土台と柱が残っている状態。まあここを壊して教会にしてしまおうとか思わなかっただけでも過去の人々に敬意。

アレンテージョの夜

 5時を過ぎるとたいていの施設は閉まってしまうので、晩飯を探しながら町歩きをすることにした。ディアナ神殿がある場所が一番の高台で旧市街の中心部、何処へ向かうにもだらだらと坂を下ることになる。ガイドブックを片手にお奨めのレストランを探す。1軒目は……休み?ああそう、2軒目は……これも休み?はぁ、3軒目……でやっと気付いた。今日は日曜日、めぼしいレストランは全て休みになっている(泣)。開いているのはカフェのようなファーストフードのような店ばかり。あきらめかけたところで「アレンテージョ料理」の看板を発見。導かれるまま、ジラルド広場Praça do Giraldoそばの路地に入る。小さな店だが、ウィンドウに飾られたチーズやワインが誘いかけてくる。お腹も空いてきたし、ここにしちゃえ。

 アレンテージョ地方Alentejoは、エヴォラを中心としたポルトガル南東部の一帯を指す。スペインと国境を接し、山間部には城塞都市が多く見られる。また、イスラム支配が最後まで続いた地域であるため、イスラム文化の影響も他の地域に比べて多く残っているそうだ。さて、注文したアレンテージョ料理は定番の豚肉とアサリのアレンテージョ風Carne de Porco à Alentejamaアレンテージョ風スープSopa à Alentejana

 飛び込みで入った店は大正解であった。前菜はアレンテージョ産チーズをアレンテージョワインを飲みながらいただく。豚肉とアサリは、コリアンダーが効いていて少しスパイシーな仕上がり、付け合わせのポテトと美味しくいただく。スープの方は、まずサイコロ状に切ったパンをスープ皿に並べ、その上にアサリ、タラ、卵(ポーチドエッグ)等からなるスープをかけていただく。魚介の出汁(ダシ)がパンに染みこみ旨い。地味な食材で調理法も単純だが、素材(自然)の旨みをそのままいただく事が出来るアレンテージョ料理に大満足。

 迷路のような石畳の街、だらだらと坂道を上る。日曜日だからなのか、夜の街は静かだ。とにかく高い方へ歩いていけば、旧市街の真ん中に位置するホテルにたどり着けるだろう。後は猫足バスタブにゆっくりとつかり、寝るだけだ。


09/10 end


Photo
アソーレスのお菓子puffin アソーレスのお菓子
ヴィラ・フランサ・ドゥ・カンポのケイジャーダQueijada de Vila Franca do Campo。黄身餡の和菓子のような味わい。
ポサーダ・ドス・ロイオスpuffin ポサーダ・ドス・ロイオス
部屋の窓からはカテドラルの塔が見えました。
ロイオス教会puffin ロイオス教会
ロイオス教会内、2階から見たディアナ神殿とカテドラル。2階からは城壁の外の風景も見渡せる。
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